ヴィサカブーチャの日

ヴィサカブーチャの日は仏教と仏教徒にとって重要な日の一つとなります。この日、仏教徒はブッダを思い起こし、そして計り知れないブッダの清浄の徳、智慧の徳、慈悲の徳を思い起すために集まります。ブッダの教えは生きとし生けるものの生き方を導いてくれました。またヴィサカブーチャの日は、ブッダの重要な三つの事柄を記念する日でもあります。誕生、大悟、入滅が陰暦6月の白分の第15日の同じ日に重なりました。

ブッダとは誰か

ブッダには「シッダッタ」という名がありました。それは目的を達した者、または望んだものを手にすることのできる者という意味です。カピラヴァストゥを治める釈迦族の王シュッドーダナとコーリヤ国デーヴァダハのコーリヤ族の王族の娘マーヤー夫人の嫡子として生まれました。

王子としての人生はあらゆる面において順風満帆でした。成長したブッダは、あらゆる財産に執着することはなく、逆にそれらにうんざりしていました。永遠と本物の幸福を探し求めていたのです。老いや病、死は誰もが直面する当然の出来事です。普通の人は何も考えません。しかし、それを目にした王子は考えました。誰もがそうであるように自分もいつの日か老い、病に倒れ、死んでいく。この苦しみから真剣に逃れようと考える人は僅かです。その後、ブッダは出家人を目にし、この出家の人生こそが本物の幸福を見つけ、苦しみから逃れるための道であると考えたのです。そこで出家を決意し、精神修行を経て自然の摂理と人生の真理を悟ったのです。悟ったブッダはその真理を人々に説き、導きました。

ブッダは模範となる人物であり、限りのない活力を持つ人物です。常に等しく人類の、生きるもの幸福のため、悟りから45年間もの間自分を犠牲にしてきました。ブッダは衆生を輪廻から抜け出させ、本物の幸福を見つけ、苦しみから救うために時間を費やしました。

誕生

シュッドーダナ王の王妃であるマーヤー夫人は出産の時期が近づくと伝統に則って故郷であるデーヴァダハに向かいました。長い道のりの途中、ルンピニーの園の沙羅双樹の下で休みました。夫人が沙羅双樹の枝に掴まり立っているとき、王子が産まれました。その日は丁度陰暦6月の白分の第15日、仏歴が始まる80年前のことでした。王子が誕生してから五日目に王子は「シッダッタ」、目的を達した者という名を与えられました。

王子の誕生は瞬く間に広がり、それはシュッドーダナ王の師であるアシタ仙人のもとまで届きました。アシタ仙人は王子のもとを訪問し、王子を目にしたアシタ仙人は予言したのです。王子は悟ってブッダとなり、輪廻から抜け出す道を説くと。予言を終えるとアシタ仙人は王子の足に礼拝しました。それを目にしたシュッドーダナ王は感動し、同じように王子に礼拝したのです。それからシュッドーダナ王は8人のバラモンを招き、王子の将来を占いました。7人のバラモンは王子が王位を継げば天転輪聖になり、もし出家すればブッダになると予言したのです。バラモンの中で一番若いコンダンニャはどんなことがあっても出家し、ブッダになると予言しました。

入滅

悟りを開きブッダとなってから、ブッダは45年間もの間、80歳になるまでダンマと世界の真理について人々に説き続けました。陰暦6月の白分の夜、ブッダはマッラ国のクシナガラで最後の説法をしました。「比丘らよ。あらゆる事象は衰えるのが自然のことである。自らのため、相手のために放逸することなかれ。」その後、白分の夜に入滅しました。ブッダ入滅の地は現在インドのウッタル州クシナガラにあります。

ブッダの美徳

ブッダの偉大さは長きに渡って称えられ、今もまだ称え続けられています。

智慧の徳。つまり、ブッダはあらゆるものの本質を知る智慧を持っていました。それらの本質をはっきりと理解し、その本質を人々の性質に合わせて世界に明らかにしたのです。

清浄の徳。つまり、ブッダはあらゆる穢れの元である煩悩から完全に清められました。一切の穢れがなく、外からの影響によって感情が揺さぶられることもありません。たとえ、それが良いことでも悪いことでもブッダは清らかなままで揺らぐことはありません。

慈悲の徳。つまり、衆生に対する慈悲を与えていました。いかなる身分であっても選びません。ブッダの戒律もまた命あるものを害さないようにと定められています。そして、平穏に過ごすために衆生に対する慈悲を持つように教えました。

ブッダの教えは次の三つにまとめることができます。

1.あらゆる罪業を犯さないこと

2.あらゆる善業を積むこと

3.こころを常に清らかにすること

これらの知識はブッダの智慧です。ブッダの智慧は考えや想像ではありません。その智慧は瞑想によって得られたものであり、それは瞑想の智慧と呼ばれています。ブッダが世界中の人々に説いた教えは、時間や場所の制限がありません。誰でも、性別や立場、また宗教でも構いません。その人が正しい人生を歩み、正しい方法で瞑想に励むことができれば、ブッダと同じ悟りに到達することができます。

だからこそ、ブッダのこれまでの教えや行ないはすべて、ゴーダマブッダが全人類にとって大恩ある「最高の師」であるということを証明しているのです。

 

 

実践すべき重要なダンマの原則

ヴィサカブーチャの日、仏教徒はダンマの原則を確信すべきです。実践すべきダンマの原則は次の通りです。

1.孝行

人の恩を知ることは報恩と同様の美徳です。それは人の恩に報いことです。孝行や報恩は善人の証であり、家族や社会に幸福をもたらします。この孝行や報恩は、両親や子供、師や弟子、上司や部下などからでも生じます。

仏教においてブッダが親のようなもので、苦しみから抜け出す道を示してくれています。だからこそ、仏教徒は仏教を支え、存続させることで孝行や報恩するべきなのです。

2.四諦

ブッダがヴィサカブーチャの日に悟った四つの真理です。

苦諦。人生の問題、維持することが難しい状態。それらの根本的な苦は、生まれ、老い、そして死です。それは人間が必ず直面する出来事であり、他にも生活の中で生じる苦、たとえば大切なものとの別れ、または貧困などです。

集諦。問題の原因、あるいは苦しみの原因です。問題の原因の多くは「渇愛」によって生じます。それは際限のない欲望です。

滅諦。苦の消滅、苦のない状態です。煩悩、渇愛、執着をなくすことができたからです。

道諦。苦を消滅させるための道。問題を解決するための八つの実践することです。正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定です。

3.不放逸

不放逸は常に気づきを持つことです。考え、話す、行なうときも悪い方にならないようにし、善行の機会を逃さないことです。やるべきことを考え、業を避けることを考え、常に先のことを考え、怠らないことです。真面目に取り組み、常に前進し続けることです。

不放逸は特に重要な美徳です。仏教の教えのすべてが不放逸につながっています。それはブッダの最後の説法からもうかがえます。

「比丘らに告げる。あらゆる事象は衰えるのが自然のことである。放逸することなかれ。」

 

国際連合とヴィサカブーチャ

1999年12月13日、国際連合が公式にヴィサカブーチャの日、またスリランカのヴィサカの日を国際的な記念日として承認しました。スリランカが主体となって国際連合にヴィサカブーチャの日を特別な日とするように検討してもらい、世界的にこの日が仏教にとって重要な日であることを知ってもらおうとしたのです。ブッダの誕生、大悟、入滅を思い起こし、善行を共に積むことで生きとし生けるものにとって大恩あるブッダへの孝行と報恩を示すためです。ブッダはすべての宗教が自分の信じているものを捨てる必要はなく、ブッダの教えを実践し、自ら確かめることを勧めました。ブッダは見返りを求めることなく、生きとし生けるものを慈しみ、教えを説いたのです。

1986年のヴィサカブーチャの日に仏教徒に送られた第5代国際連合事務総長ハビエル・ペレス・デ・クエヤル氏からのメッセージです。

各地にいる仏教徒の皆さん。このヴィサカブーチャの日は大いなる吉祥です。我々はブッダの誕生、大悟、入滅と人類に対する計り知れない慈しみを思い起こす日です。この愛情や慈悲は、この世界中の人類にとって大いに必要なことです。

第9代国際連合事務総長アントニオ・グテーレス氏からのメッセージです。

私は今年のヴィサカブーチャの日に皆さんへ祝福を送ります。この日、世界中の仏教徒の皆さんにとって神聖な日です。我々がブッダの誕生、大悟、そして入滅を思い起す日です。人類はブッダの教えに励まされました。このコロナの中、人類はブッダの教えを思い起こすことでしょう。「生き物は病にかかる。それは私とて当然のことである。」これは事実です。それは人間の一致団結を促し、可能な限り多くの人々に手を差し伸べ、助け合うことができます。もし人間が団結したとき、このコロナを止めることができるでしょう。このヴィサカブーチャの日に我々はお互いを愛し、慈しむブッダの教えを思い起こしてください。そして、この世界に平和と平穏を築きましょう。

ヴィサカブーチャと世界平和

ブッダの大いなる慈悲を思い起してください。ブッダは多くの人に生活の知識を説きました。人々はそのダンマを日常生活で実践し、現代に至るまでその素晴らしい教えを伝えてきました。このヴィサカブーチャの日、世界中の仏教徒が世界平和を築くために集まります。ブッダが説いた原則に従い、瞑想でこころを静止させ、こころを澄んだ状態にします。

全員が瞑想をし、こころが静止したとき、瞑想していた人は内にある幸せに触れることができます。それは外に追い求める必要のない幸せです。そして、世界各地にいる私たちが瞑想し、こころを静止させることができれば、この静止したこころの力が純粋な力となって皆さんの第七ベースに幸せを生じさせます。そのとき、瞑想している全員が内側から拡大させることで、まるで私たちが幸せの磁石の如く、良いものを引き寄せることができます。そして、私たちの周囲の人々、たとえば家庭や会社、学校、職場、社会、さらに街中の、国中の、世界中の人々の中に幸せの波を生じさせるができるのです。

ヴィサカブーチャの日のタンマガーイ寺院の活動

毎年、タンマガーイ寺院およびタンマガーイ財団は一日中儀式を行っています。ブッダの教えと美徳、生きとし生けるものに対する大いなる慈しみを思い起こしています。午前中と午後に布施や持戒、説法、瞑想を行ない、夜に僧侶や見習い僧、さらに世界各地にいる10万人の人々が同時にZOOMアプリを通して儀式を行ないます。タンマガーイ大仏塔の前に設置されている大きなモニターを通して皆さんの映像や声を届けます。大仏塔の上部と内部には100万人のブッダの代わりとなる仏像があります。

皆さん、初転法輪経を唱える用意をしています。それは悟りを開いたブッダが最初に説いた教えであり、初歩から本当の内にある幸せに到達するための瞑想法が説かれています。そして、一緒に三宝を礼拝するキャンドルに火を灯します。それから瞑想をして祈念し、慈悲を広げます。私たち全員のこころからの生じた善意の力が同時に広がっていくことで世界を純粋に磨き上げます。世界中の人々がいち早く苦しみから逃れ、幸せに巡り合うことができることを願っています。

 

ヴィサ一カブーチャ一(仏誕節)

オンラインで世界中の方々と一緒にキャンドルライトレセモニーと瞑想に参加しませんか?
予定 (日本時間)
2022年5月15日日曜日 
会場 タイ国タンマガーイ寺院にて

午前中

11:30-13:00 瞑想

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午後

17:45-18:15 瞑想

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21:00 三宝に礼拝/キャンドルライトレセモニーの開始/キャンドルライト点火/瞑想

21:30 ZOOMを通して世界中の僧侶による読経

22:20 祈願/慈悲瞑想

22:30 イベント終了

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4,363,000,000回の転法輪経の読経に達成した祝賀イベント